友人Aに貸したiPadを友人Aがお金に困り他人Cに売っていた!! そしてそのiPadを引き渡してしまった。この他人Cは、iPadがAの持ち物ではないと知らず、知らないことに過失もなかった。さてこのiPadは誰のものになるでしょう?
一応法律家の端くれなので、法律家の端くれのような記事を書きたいと思います。
勿論友人Aは、このiPadに対し、真の所有者ではなく借りているだけなので、本来勝手に売る権利もないわけです。
単に貸していた自分の所有権が尊重されるべきだと思います。また、Aを信頼してお金を払い自分のものとした他人Cも尊重されるべきであるとも思います。
どちらが尊重されるべきでしょうか?
目次
Ⅰ.真の所有者ではない者からの取得
答えは、このiPadを購入した他人Cのものになります。
そんな理不尽な!!と思う人もいるでしょう・・・
これに関しては、法律「民法」でルールが定められています。
民法192条の「即時取得」(善意取得)に規定がございます。
「取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。」
とあります。原則論から言います。
単にiPadを借りていただけのAさんは無権利者となります。勝手に人のものを売るべき立場にございません。当然Aさんを責めるべき問題ではありますが、
その無権利者から買ったCさんも所有権を取得できないのが原則となります。
逆にCさんから見るとどうでしょう?Aさんを信頼してお金も払ってせっかく手に入れたのに、所有権を取得できない。こちらも被害者ですよね!
自分が買ったはずのものが実は自分の物ではなくて、いきなり真の所有者が出てきて返せ、と言われると困りますよね。
こんなことだと誰も取引をしなくなり、経済が停滞してしまいます。
そこで、取引の安全を守るために無権利者と取引した人でも保護しましょうというのがこの即時取得の規定になります。
ただし、簡単にCさんの権利を認めてしまうと私だけが被害者になってしまいます。
そこで、この即時取得の要件を法律にて定めております。
Ⅱ.即時取得の要件
要件は、下記になります。
1、目的物が動産であること
2、前主が無権利者であること
3、前主に占有があること
4、前主との間に有効な取引行為があること
5、平穏・公然・善意・無過失で占有を取得すること
この要件が全部そろった場合に、はじめて即時取得が成立します。
不動産は、即時取得の対象とはなりません。購入したものは友人Aのように売主が占有しているので当然Aのものであると信じるに至ったこと。
売買取引のように有効な取引があること。平穏は、強引に奪ったりせず平穏に取り引きをしたこと。公然であり購入したものが私の所有物だと知らず、知らなかったことに過失がない事が要件となります。
ところで、盗難車を購入した場合などは、即時取得が認められるでしょうか?
答えはNOです。何故なら自動車は車検証という形で公然と所有者を特定できるシステムになっているので、真の所有者を知らないというのは車検証を見れば一目瞭然でわかることなので善意・無過失というのが通じません。
で、Cさんが所有権を主張するには、上記要件を証明しなければならないわけです。
Aさんが所有者でないということを知らなかったこと。また知らないことにつき過失がない事。(自動者などは車検証を見れば所有者がわかりますので無過失は認められません)
勿論、騙したAさんは、所有権の所在とは別のところで不法行為等責任追及されることとなります。
以上、こんな場面に出会うこともあまりないとは思いますが、法律を知っているか知っていないかでその対策が変わってくることになるかと思います。
行政書士らしく法律に関わる情報提供をしたい思います。
ありがとうございました。










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