不法行為

介護施設事故と不法行為責任

介護士の画像

先日SNS上で、介護事業の介護士さんが、目を離した際に利用者が転倒をして怪我を負ってしまい、その責任について不法行為責任を問われ、家族から損害賠償をされ、雇用主である法人からは、介護士さん自身が100%損害賠償責任を負う旨の念書に署名をするよう求められたというような投稿がありました。

担当者として、家族に対し平身低頭謝罪をし、さらに家族からは謝罪の場で損害賠償すると言われ、雇用主である法人からは、担当者の責任であり法人としては一切責任を持たないとの書面に署名をするよう求められたというあらましになります。

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共同不法行為と不真正連帯債務

車同士の事故画像

不法行為について意外と皆様が興味を持っていることがわかりましたので、不法行為について掘り下げて記事を書きたいと思います。

共同不法行為とは、損害の加害行為に複数の加害者が絡んだ結果として損害を被った場合のことを言います。

よくある事例としましては、交通事故の玉突き事故や、交差点で右折車と直進車の追突事故から派生して通行人が怪我を負ったケース。或いは、集団に暴行を加えられ怪我を負ったケースなどが考えられます。

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法律的観点からのクレーマー対応

飲食店の画像

損害保険の仕事をしてきました僕ですが、接客業を仕事とされるお客様(飲食店やエステティックサロンなど)は、事故の被害者の過剰な要求に悩まされることが多くあります。

勿論、社会通念に照らし、必要かつ相当な範囲の損害賠償はすべきですし、事故を起こしてしまったことを真摯に受け止め、誠心誠意をもって対応すべきです。

しかし中には損害を被ったのだから、ああしろこうしろと、社会通念に照らしあきらかに過剰な要求を突き付けて、「お客様は神様です」と言わんばかりに、要求を通そうとする者がいます。

しかも、一度要求を飲んでしまうと、どこから聞きつけてきたのか、「あの店は、強気に出れば何でも要求を飲んでくれる」といわんばかりに詐欺まがいなクレーマーが現れ、示談金を支払ったところ、その連絡先がまったくのでたらめだったなど店としての機会ロス利益減少につながってしまったりします。

以前にどうすればそのようなクレーマーからお客様を守れるのかを真剣に考え、飲食店営業についてまとめた記述があり、今回はそれを記したいと思います。

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民法715条〜使用者責任〜

車の自損事故の画像

会社の従業員Aが、業務の執行中に第三者Bに加害行為をしてしまい、その被害者である第三者Bから会社に対し損害賠償請求された。

その損害賠償をした会社は、従業員Aにその損害を求償できるでしょうか?

例えば、会社の車で配送途中に交通事故で怪我させてしまったなどを想定しています。また会社が払った賠償金をその従業員に求償するケースを想定しています

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台風の爪痕と民法717条「土地の工作物等責任」「公の営造物の管理」

信州の山の画像

昨日は、首都圏を直撃した大型台風のため皆様大変な思いをされた方が多いかと思います。

かくゆう僕も総武線が動いていなかったのと、14時にお客さんとアポがあったため車での移動を余儀なくされ、大渋滞もあり難儀な思いをいたしました。

皆様もTVのニュースなどでご覧になったかとは思いますが、千葉県市原市のゴルフ練習場の支柱が折れ、近隣の住宅10棟近くに損壊の被害があった映像があったかと思います。

非常にショッキングで、自然の力の猛威を痛感させられた場面であったかと思われます。


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賃貸住宅における失火責任について

さて、前回失火責任という非常に怖い話をいたしました。

隣人のストーブの不始末で自宅が燃えてしまっても失火法の適用で隣人に「弁償して!」とは言えないので、リスクを保険に転嫁しないと じ・エンド という

悲惨な状況になりかねません。

では、賃貸マンションやアパートで火事を起こしてしまった場合はどうなるのでしょうか?

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不法行為法の特別法「失火責任」について

火災の画像

民法709条の不法行為には、特別法がいくつかあります

例えば失火責任ついて、あるいは自動車損害賠償責任法国家賠償法など不法行為法を修正する法律になります。

さて、前回も触れました不法行為法の基本条文は、

民法709条

 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

となります。

但し、民法709条を修正する特別法として過失による失火の場合の責任を除外しています。

民法709条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス

失火責任につきましては故意重過失で失火を起こしたのでなければ、隣人への延焼に対する法律上の賠償責任は問われません

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不法行為の要件について

車の自損事故の画像

損害保険を扱っていて最も法律に触れるといえば民法の不法行為法です。損害保険を扱ってきた僕にとっては身近な法律となります。

不法行為で最も身近なケースとしましては、自動車による交通事故が当てはまります。

では、その行為が不法行為に当たるかどうかの判断は何を持って判断するのか?ということですが、その根拠となるのが上記にあげた不法行為法です。

不法行為法とは…

民法709条
故意又は過失によって第三者の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、その損害を賠償する責任を負う

これが、最も根本的な条文です

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