契約法関連

事務管理について

民法には、良かれと思って他人のためにお節介をした場合の法律の規定があるのをご存知でしょうか?

例えばですが、

隣人のAが長期の海外旅行に行って留守にしている間に、A宅の窓ガラスが突風で割れてしまった。天気予報によると、大雨が降るかもしれないという。もし、そうなると、家具がびしょ濡れになることは明らかなため、代わって修理をした。或いは、ガラス屋Cに頼んで応急修理をしてもらい費用がかかったとします。旅行から帰ってきたAは、いらぬお節介であったと言ってこの費用の支払いを拒否できると思いますか?

他の例で言うと

道端で行倒れになっている人(A)を見つけたので、タクシーで近くの病院に運び、ポケットの中にあった免許証から名前が分かったので、Aの名前で治療の契約を結んだ。意識を取り戻したAは、タクシー代や治療費の支払いを拒めるでしょうか?また、Aと病院の間で結ばれた診療契約は、代理権の与えられていない無権代理による無効な契約となるのでしょうか?

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共有土地の賃借

ユキマサくん

お客様である法人のAさんから相談がありました。会社の資材置場として手頃な土地を探していたところ、少し郊外にはなってしまいますが手頃な土地を見つけたため、その土地を会社の資材置場とする利用目的で一時的に借りたいとのことです。その土地の現状は、地目が宅地で更地となっており、雨風を防げる程度の仮設建物を建て、一部業務用の貨物車なども置きたいとの事でした。

早速、この土地を借り受けるべく土地の所有者を調べることとしました。

ところが土地の所有者を調べると、所有者はB氏とC氏の共有の土地となっており、親交があるBさんに賃貸の意思表示をしたところ快く承諾をいただきましたが、C氏とは、親交がなく意思表示をしても一向に返事がありません。ちなみにこの土地は、BさんとCさんの持ち分はBさん2/3Cさん1/3づつとなっております。

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債務不履行の損害賠償責任と特別損害

契約破棄

ある事故についての相談をいただきました。ご相談をいただいたのは、ビルのテナントの原状回復工事を請負った施工会社Cからです。

オーナーAと借家人である飲食店Bとの契約で、テナントを退去する際の現状回復義務に伴う損害賠償についてです。

今回の相談は、飲食店である工事の注文者BとビルのオーナーAとの間で賃貸借契約の通常解約により、店舗の造作・内装を撤去した上でオーナーに対し物件を明け渡すという中で、ある日時までに明け渡すとの約定がありました。ところが、施工会社Cのミスからか、約定の日時に間に合わせることができず、実に約定日から1月ほど経過しての明け渡しとなってしまいました。

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36協定「働き方改革」

残業続きのタイムカード

先日、会社設立から新規建設業許可申請までの仕事をいただきました鉄道の「軌道工事業」のお客様から「36協定」のご相談がありました。

鉄道の軌道工事とは、線路の敷設や保全・修復を作業する職種になります。仕事柄、鉄道サービスを行っている昼間に作業をすることはほぼ出来ず、皆が寝静まった深夜帯に作業をすることが多い職種となります。

とはいえ、昼間の仕事がない訳ではないので、時として夜間作業を終え、数時間の睡眠をとった後、昼間仕事をすることも多々あり、そうなると労働基準法に定められた、法定労働時間1日8時間週40時間以内という法定労働時間を超え、法律に抵触してしまうため、「36協定」が必要となる訳です。

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介護施設事故と不法行為責任

介護士の画像

先日SNS上で、介護事業の介護士さんが、目を離した際に利用者が転倒をして怪我を負ってしまい、その責任について不法行為責任を問われ、家族から損害賠償をされ、雇用主である法人からは、介護士さん自身が100%損害賠償責任を負う旨の念書に署名をするよう求められたというような投稿がありました。

担当者として、家族に対し平身低頭謝罪をし、さらに家族からは謝罪の場で損害賠償すると言われ、雇用主である法人からは、担当者の責任であり法人としては一切責任を持たないとの書面に署名をするよう求められたというあらましになります。

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役員等の第三者に対する損害賠償責任

取締役会イメージ

日常の商行為の中で、取引先の企業の行為によって損害を被ることが往々にしてあります。

例えば、何年か前に成人式の晴れ着の販売やレンタルで「はれのひ株式会社」が、成人式当日に、会社を閉鎖し、契約をしていた新成人の多くが振り袖を受け取れなかったという事件がありました。この事件の社長は、刑事事件に発展し、実刑判決を受けました。

このような例はかなり悪質性が高いですが、例えば従業員の一部が直接の不法行為の加害者で会社の取締役自身は不法行為に関与してないことを理由に取締役に責任がない事を主張された場合、はたしてその取締役に対して責任追及することは出来ないのでしょうか?

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取得時効の「自主占有」と「他主占有」

掛け軸の画像

先日、面白い記事を見ましたので情報提供したいと思います。記事の内容は次の通りとなります。


問題「テレビ番組でお宝発見!!」

テレビ番組を見ていると、30年前に友人に貸した掛け軸が映っていたので確認しようと友人に電話をすると、友人の息子が出ました。

「テレビに映っていた掛け軸は、30年前に私がお父さんにタダで貸したものだ」

というと、

「父は20年前に亡くなりました。あの掛け軸は父のものだと思っていたので、3年前に知人に売ってしまった

と言います。

では売ってしまったのなら、掛け軸の金額を弁償してもらえますか?という質問になります。

皆様は、弁償してもらえると思いますか?

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根保証契約についての民法改正

契約締結場面の画像

さて皆様は、保証人だとか連帯保証といった言葉にどのようなイメージをお持ちになりますでしょうか?

おそらく「誰かの為に保証人や連帯保証人になってしまったために人生がめちゃくちゃになってしまった」などの話をどこかで見聞きし、良いイメージをもってない方がほとんどかと思います。

4月1日から「根保証契約」についての民法改正があり、その説明と保証契約について触れます。

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共同不法行為と不真正連帯債務

車同士の事故画像

不法行為について意外と皆様が興味を持っていることがわかりましたので、不法行為について掘り下げて記事を書きたいと思います。

共同不法行為とは、損害の加害行為に複数の加害者が絡んだ結果として損害を被った場合のことを言います。

よくある事例としましては、交通事故の玉突き事故や、交差点で右折車と直進車の追突事故から派生して通行人が怪我を負ったケース。或いは、集団に暴行を加えられ怪我を負ったケースなどが考えられます。

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印鑑の知識について

契約書と印鑑の画像

ここ最近在宅ワークの流れに伴い、これまで当たり前のように行われてきた社内決済や契約の際の印鑑について非効率さが叫ばれ、新習慣として脱ハンコが根付くのかどうかがを見守っていきたいところです。

すべてにおいてハンコを必要とする日本社会ですが、ハンコを押す意味は、何なのでしょうか?

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