2019年7月1日より民法の一部が改正されています。それにより相続実務に関わる問題が諸々発生いたします
目次
Ⅰ.債権者の差押えと遺言の対抗
改正点の一つに特定財産承継遺言と代位登記の対抗要件があります
何のこと?と思われるかと思いますが、非常に重要な改正になります
代位登記とは、債権者代位権に基づく相続登記のことです。
民法423条(債権者代位権)
“債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りではない”
具体的な例を挙げます。
Aさんには、被相続財産として5,000万円の甲不動産を所有していたとします。Aさんには相続人として妻のBさん、長男のCさん、長女のDさんがいると仮定します。
それぞれ法定相続分は、妻Bさん1/2、長男Cさん1/4、長女Dさん1/4となります。
甲不動産の共有持分は、Bさん2,500万円、CさんDさんが、1,250万円づつとなります
仮に長男Cさんが2,000万円の借金あるいは、税金の滞納などがあり、返済の目処もなく無資力だった場合、長男の債権者である金融会社や国や地方自治体は、Aさんの相続開始とともに甲不動産のCさんの法定相続分1,250万円についてCさんに代位して相続登記をした上で、その持分を差押えることができます。
これを債権者代位権に基づく代位登記といいます。
では、Aさんが生前遺言を書き、その遺言の中で甲不動産を妻のBさんに特定財産承継遺言をしていた場合はどうなるでしょうか?
※特定財産承継遺言とは、その遺言の中で、特定の財産について「〇〇に相続させる」という文言で共同相続人の一人又は数人に承継させる遺言のことを言います。つまり上記例で言いますと、妻Bに相続させる遺言になります。
従来であれば、仮に代位登記をされたとしても、遺言の中でCさんの持分がない事となっていた場合、その代位登記は無効でした。つまり、遺言の方が、代位登記よりも優先されていたわけです。
ところが、新民法におきましては、対抗要件の具備の先後での決着となります。
不動産の得喪(権利を得たり喪ったり)に関しましては、その登記の先後によって決まりますので、債権者による代位登記よりも前にBさんを承継者とする相続登記をしなくては、債権者に妻Bさんによる甲不動産の承継を対抗できないこととなります。
その他にも、被相続財産が預貯金だった場合、債権者に差し押さえられるよりも先に金融機関に遺言の内容と受益相続人が承継したことを明らかにする文書を金融機関へ「配達証明付き内容証明郵便」等で通知しなくてはなりません。
Ⅱ.負の遺産がある方の注意点
遺言には、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。自筆証書遺言は、必ず、家庭裁判所の検認が必要となり、遺言の執行には通常2月~3か月程度かかることを考慮すると、債権者に対する対抗要件を具備するのに間に合わないことが想定されます。そう考えると公正証書遺言の方が有効と考えます。
仮に遺言執行者に就職した場合、対抗要件を具備するために非常にスピード等を要することとなりますので要注意となります。
その他にも、遺留分減殺請求権は、7月1日以降 遺留分侵害額請求権となっております。
これにつきましても従来の制度とは大きな改正となっており実務に影響するところなので、次回細かく触れたいと思います。











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