昨日の投稿では、従来、相続させる旨の遺言があれば、法定相続分を超える権利を承継する相続人(受益相続人)は、登記を急がずとも自らの権利を守れたが、改正後は、他の相続人が相続登記をした上で、自らの持分を第三者に移転登記をするともはや第三者には対抗できないこととなったこと。
また、仮に他の相続人が何もしなくても、その債権者が相続持分を差押え・仮差押えをすれば、これにはもはや対抗できない
という重要な改正に触れました。
債権者による代位登記と特定財産承継遺言の対抗 相続関連法改正
それとは別に遺留分を侵害された場合の法的性質の変化も発生しております。
目次
Ⅰ.遺留分侵害額請求権
※遺留分とは、被相続人の遺言によっても害することのできない、相続人が相続に関して保障されている遺産の取り分を言います。
例えば、遺産の全部を慈善団体に寄付する遺言がなされても、配偶者・直系卑属は、本来相続分の1/2、直系尊属は、本来相続分の1/3が遺留分になります。兄弟姉妹には遺留分はありません。
従来の民法では、遺留分減殺請求権を行使すると、減殺請求の対象となった目的物の所有権(共有持分権)は、登記も戻され遺留分権利者に戻るという物権的効力がありました。
対して、新民法では、遺留分侵害額請求権といい所有権が戻ることなく、権利分の金銭債権とし、侵害額相当分を金銭にて支払わせることとなりました。
従来の物権から債権に変わることにより、様々な効果の変化があります。
- まず遺留分侵害額請求権の消滅時効が、債権総則の時効の規定通り起算点から5年間となります。
前半部分の相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知ったときから一年間については変わりません。
除斥期間については、従来相続開始から10年間だったものから遺留分侵害額請求の意思表示をしたときから5年間となります。
※除斥期間とは、いくら相続の開始や遺留分の侵害を知ったのが、最近であり1年を経過していなかったとしても起算点から5年以上を経過していればもはや権利行使を認めないということになります。(権利秩序の安定のための趣旨)
- また、従来なかった遺留分の侵害額に相続開始前10年間に相続人に対してされた①婚姻若しくは養子縁組のため又は②生計の資本としてなした贈与の価額を繰入れたうえで請求することが可能となります。
というように、遺留分の法的性質が変わることにより様々な効果の変化が生まれることが想像できます。
Ⅱ.遺言執行者の法的性質
その他にも、我々行政書士が、遺言の執行者に就職した場合の、遺言執行者の法的性質もついてもいろいろと変わることとなります。
簡単に言うと、遺言執行者に法的性質が、相続人の代理人という立場から、遺言の内容の実現者という法的地位が確立され、従来、相続人と争いに発展し、裁判沙汰になることが多かった立場に道筋が立ったことになります。
ただし、前回触れた対抗要件の問題があり、非常に難しいかじ取りが迫られることにもなります。
以上、相続関連法改正についてでした










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