大阪都構想について

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
道頓堀写真

先日、5年ぶりに大阪市の特別区移行のための賛否を取る住民投票が行われ、結果として僅差により否決となり、大阪府の都構想は、実現しないこととなりました。

行政書士として僕自身はその資格試験の中で地方自治法等についても学びますので、今回問題となっていた、政令指定都市特別区行政区等についての基礎的な知識はありますが、大阪市の住民の皆様は、特別区に移行することのメリットやデメリットが本当に理解できていたのか?という疑問点があったのと、僕自身この都構想についての理解度が足りないのもあり、今回調べるに至りました。

大都市地域における特別区の設置に関する法律

今回、大阪維新の会が大阪市を特別区に移行しようと考えた根拠となる法律が、平成24年9月に成立した議員立法である「大都市地域における特別区の設置に関する法律」となります。

その目的は、

第一条 この法律は、道府県の区域内において関係市町村を廃止し、特別区を設けるための手続並びに特別区と道府県の事務の分担並びに税源の配分及び財政の調整に関する意見の申出に係る措置について定めることにより、地域の実情に応じた大都市制度の特例を設けることを目的とする。

ところで、東京都においては、既に特別区(東京23区)が置かれています。あくまでも僕の想像に過ぎませんが、東京都においては、基礎行政(区)と広域行政(都)を効率的に分担をし、基礎行政となる区を住民により身近な存在とし、区長・区議会を設け、条例を制定し、住民の細かい要求を充たす自治を行っており、割と大都市行政としてうまくいっている現状があるのではないかと思います。

条文を見ていただきわかることは、「道府県」という表記のとおり、この法律には東京都は含まれず、東京都の大都市行政を他の道府県にも採用できるよう定めたものと解釈が取れるかと思います。

では、東京都以外の大都市行政は、現状はどのようになっているかと言いますと、人口100万人を超えるような大都市におきましては、政令指定都市という形態をとってる都市が大多数です。

政令指定都市の自治体

2020年現在、政令指定都市である自治体は、以下の20市となります。

道府県 市名 人口 行政区数
北海道 札幌市 1,961,677 10
宮城県 仙台市 1,091,992
埼玉県 さいたま市 1,318,753 10
千葉県 千葉市 981,675
神奈川県 横浜市 3,757,630 18
  川崎市 1,539,522
  相模原市 722,973
新潟県 新潟市 792,887
静岡県 静岡市 687,443
  浜松市 789,675
愛知県 名古屋市 2,329,712 16
京都府 京都市 1,457,856 11
大阪府 大阪市 2,750,995 24
  堺市 825,276
兵庫県 神戸市 1,516,638
岡山県 岡山市 720,300
広島県 広島市 1,198,664
福岡県 北九州市 935,084
  福岡市 1,603,043
熊本県 熊本市 738,567

政令指定都市の中には、大規模となった市政を効率よく分担するために行政区が設けられます。

例えば、横浜市磯子区だったり、保土ヶ谷区というような区のことを行政区と言います。これは、横浜市の支庁のようなもので、東京23区の特別区とは違う概念になります。行政区には、区議会条例制定権もございません。区長は、市長の任命によります。

その他、行政区には課税権はなく、財産権の主体にもなりえません。

政令指定都市の権能

政令指定都市は、本来都道府県が法律又はこれに基づく政令の定めるところにより処理することとされている事務で次に掲げるものの全部又は一部を政令により処理することができます。

つまり、通常の市よりも多大な権限が与えられ都道府県が行う事務のほとんどを独自に扱え、都道府県と同格とも言われています。大都市であるがために、道府県の仕事を侵食し、発言力を強めているともいえるのではないか?と思われます。

とはいえ都道府県に包括されており、都道府県の影響力が完全に排除されるわけではないため、一部の事務は都道府県が行っています。

  • 民生行政に関する事務の一部(養護老人ホーム等の認可)
  • 保健衛生に関する事務の一部(診療所の開設許可、医薬品一般販売業の許可)
  • 都市計画に関する事務の一部(市街地開発事業の都市計画決定、土地区画整理組合の設立許可等)
  • 文教行政に関する事務の一部

政令指定都市の行政上の問題点

上述のとおり、指定都市は各分野につき、完全に独立した行政を担当できるまでの事務移譲を受けるわけではなく、農林行政、防災行政については、ほとんど授権がない。一方で、都道府県指定都市との間では、一部につき共通する行政を担当することから、両者の間での二重規制二重行政に陥る可能性が指摘されており、実際、大阪市横浜市のようにどこぞの県よりも巨大な大都市にもかかわらず、常に道府県行政との調整が必要となる。

そこで、東京都の特別区のように広域行政に向く事務都道府県が担い、より住民に寄り添ったサービスといった基礎行政特別区が担うといった区別をし、効率的に大都市行政を行おうというのが、今回の趣旨・目的であると思われます。

一応は、東京都においてはこの運営にてうまくいっている?ので、他の大都市も特別区への移行を選択することが出来る法律になっています。

例えば、愛知県と名古屋市のように本来、県が市よりも上位権限があるにも関わらず、大都市ということで、県に対し無駄な軋轢が生じたりもします。無駄な軋轢を排除し、権限を明確に分離することが、二重行政の排除を期待できるからです。

都構想についてご存知ですか?

ところで都構想を採用すると何が変わるかご存知でしょうか?

「都」とは、特別区を持つに至った道府県に対して、「都」に分類されるとの事です。東京都の「都」とは違うようです。

  • 東京都の「都」は、首都の「都」?
  • 道府県の「都」は、特別区を採用した「道府県」を「都」に分類する

1.現状の大阪府→大阪市→行政区という状態から大阪市がなくなり大阪府→特別区となります。

2.特別区を持つ道府県を「都」という概念の「道府県」になるだけで呼び名としての大阪府は変わりません

3.広域事務は大阪府の権限となり、基礎行政は、特別区の管轄となります。

4.細分化された特別区により、選挙で区長を選び、より地域に根差した条例を制定し、地域に根差したルールを制定することが出来るようになります。

5.一度、都を選択した場合、大阪市に戻すための法律は現存しないので、戻すことは出来ないとされています。

6.大阪市の場合、市議会議員の総数=特別区にした場合の区議会議員の総数となるようです。

7.特別区ごとの行政サービスに多少の差が出ることは想定できます。

勿論、何かを変えようとした場合は、多少の痛みや変化を伴います。逆にメリットも生まれるかとも思います。

今回せっかくできた法律に初めて特別区の移行という大都市行政の変更に挑んだ大阪市ですが、結果、僅差で2度の否決となり、残念ながら実現はしないこととなりました。

僕自身の感想としては、財政的な面でのデメリットもあるのかもしれませんが、より良い将来を構築しようと挑戦した松井さんや吉村さんの意思が実現しなかったことは非常に残念だなと思います。

大阪に限らず、他の道府県も特別区への移行を選択することが出来るということを知っておいてください。

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す