今週の月曜日は、市川市の法律無料相談の相談員の仕事をしてきました。市川市では、月に1回行政書士による法律相談をしております。
今回はいつもとは違く開始前にすでに5人の相談者が待っている状況でした。
結果的に4人の相談者の相談に応じたのですが、その中で家族信託についての相談をいただきました。
残念ながら「家族信託」については、存在そのものは知ってはいたものの詳細については知らず、一般的な話のみさせていただき、相談者のお役には立てずじまいでした。
最近よく聞く家族信託について調べると、非常に有効な制度であることがわかりました。今後HP上にも詳しいページを作成したいと思いますが、少し触れたいと思います。
目次
Ⅰ.家族信託の概要
これまで、万一認知症になってしまった場合は、成年後見制度により成年被後見人となり家庭裁判所から選任された成年後見人がその療養看護の管理・財産管理を行うというのが現在主流の流れとなります。
しかし、この成年後見制度は、後見人はあくまでも本人の財産の保存・管理までとし、本人が亡くなるまでは、財産の処分はできないというのが制度の概要になります。
特に賃貸不動産をたくさんお持ちの不動産オーナーや知的財産権を所有している高齢者、株式を所有している高齢者は、認知症になると不動産を人に賃貸する行為など処分行為は何もできなくなってしまうという不具合があります。
そこでこの不具合の解決方法として「家族信託」が新しい制度として注目されています。
「家族信託」とは、自分の財産を信じている家族に託するという契約になります。
この契約には、それぞれ3者が登場人物として出てきます。
- 「委託者」・・・自分の財産を託す人
- 「受託者」・・・財産を託された人(未成年者等はなることができません)
- 「受益者」・・・託された財産から発生する利益を得る人
「委託者」と「受益者」が同一人物の形式を「自益信託」といいます。
「委託者」と「受益者」が別人の形式を「他益信託」といいます。
例えば、自益信託の典型的な例ですと、高齢の不動産オーナーが「委託者」となり、オーナーの長男を「受託者」とします。
万一委託者の父親が認知症になってしまったら、長男が委託者の父親の不動産を賃貸経営し、その賃貸収入は、「受益者」である不動産オーナーの父親が受け取るというものになります。つまり、運営は長男に収益は父親にとなります。
契約内容により場合によっては、長男がこの不動産の処分売却もできるようになります。
そして、当初受益者である父親が万一亡くなった場合は、「二次受益者」として、母親を指定することができます。長男は今度は、母親のために管理運営することになります。
「二次受益者の母」が亡くなったら、三次受益者を受託者としておけば、1年を経過後、残存財産を長男が引き受けることとなり、事実上の相続移転のような効果にもなります。
遺言であれば、不動産を配偶者に特定遺贈した場合、その不動産は配偶者の固有財産となりますので、ゆくゆくは長男に継がせたいといった場合でも、二次・三次相続まで財産の行方を縛ることはできません。
しかし、この家族信託を使うとそれが可能となります。
他益信託の典型例ですと、「福祉信託」で、例えば、障害を持った長男を「受益者」、健常者の次男を「受託者」とすることで、委託者である親が亡くなった後でも、長男のための生活の糧を準備することができます。
Ⅱ.家族信託契約の流れ
家族信託のための具体的な流れは、下記のとおりとなります。
- 家族信託契約の作成 (私署契約でも可ですが、契約の担保のため公正証書にすることを勧めます)
- 不動産を信託財産とする場合は、信託を原因とする「委託者」から「受託者」への所有権変更登記(信託登記)
- 受託者の固有財産と信託財産を明確に分離するため、「信託口口座」または、信託財産用の口座の開設
- 受益者へ年一回の財産の管理状況の報告(貸借対照表や損益計算書の提示)
Ⅲ.家族信託のメリット
家族信託のメリットは下記となります。
- 成年後見制度では不可能な、財産の処分が受託者においてできること
- 委託者・受託者のどちらかが破産をしても信託財産が差し押さえされないこと(信託財産の所有権は、「受託者」に属するため、また信託財産は「受託者の」固有財産とは独立した財産であるため)
- 遺言では不可能な、二次相続以降までの財産の行方の指定ができること (当初受益者から二次受益者、受託者への移転)
反対にデメリットは、
- 他の相続人の遺留分を侵害する可能性が高いため、他の相続人からの遺留分減殺請求をされる可能性があること(しっかりとした話し合い要)
- 受託者の怠慢(弁護士等の信託監督人を別に指名することはできます)
以上簡単に説明したつもりですが、非常にいろんなことができる制度なので詳細は、専用のページを作成したいと思っております。







