遺産分割協議ができない場合の対処法

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相続業務を進めるうえで、最終的には、相続人全員での遺産分割協議を経て、相続財産が各相続人に帰属しますが、その遺産分割協議ができない、あるいは無効となるケースがあります。

協議ができなかったり無効であったりするため、故人の不動産を処分することもできなかったり、ひどいケースでは、生活口座の預貯金が凍結され、預貯金を下ろすことができず、生活費にも困るといったことが想像されます。

基本的には、相続人のうちの一人でも欠けた遺産分割協議書は無効となります。

遺産分割協議ができない場合

例え、相続人の一人が日本に住所を有しない場合であって外国に居住している場合であっても、その相続人を無視して進めることは出来ません。

また、仮に相続人の一人の行方が分からずに遺産分割協議を進めることができない等も行方が分からないからと言って、その相続人を省き、残りの相続人で遺産分割協議をしても、その協議は無効となります。

その他にも、物理的に相続人間で協議することは可能ですが、相続人の1人が未成年者である場合で他の相続人と利益相反関係になるときや相続人の一人が認知症となっていて、その能力に欠ける場合なども遺産分割協議を進めることができません。

相続人全員が物理的に協議することができ、さらに行為能力においても問題がないけれど、相続人間で協議がまとまらない或いは、協議することができない場合というのもあります。

1.遺産分割協議ができない場合の類型

上記のような遺産分割協議ができない場合のケースを類型しますと下記となります。その類型ごとの対処法についてまとめたいと思います。

  1. 相続人の一人が外国に居住している
  2. 相続人の一人が行方不明
  3. 相続人の一人が行為制限能力者である
  4. もめ事等にて遺産分割協議がまとまらない又はできない

ざっくり言ってこんなところが遺産分割協議ができないケースではないかと思います。そして、上記のようなケースで遺産分割協議がまとまらないため、不動産の相続登記が滞り売却することもできないといったことが予想されます。

2.相続人の一人が外国に居住している場合

遺産分割協議書の基本は、協議の上でまとまった内容を書面にし、その書面上に全員の署名・捺印・印鑑証明の添付というのが基本となります。

しかし、外国に居住している相続人は、現実問題物理的に同席して協議をすることは難しいと思います。

そんな時はどうすればよいか?ということですが、この場合一枚の協議書にまとめるのではなく、相続人ごとに「遺産分割協議証明書」を作成し、相続人一人の署名・捺印・印鑑証明の添付した物を相続人全員分集めるということで代用することができます。

そして、多くの外国においては、日本のような「印鑑」文化がない国があります。その場合は、外国の中の日本大使館において「サイン証明」を取得することができます。在外公使の面前で、サインを登録し、そのサイン証明と同じサインを印鑑の代わりにして、「サイン証明」を添付することで代用することができます。

その他、日本の「住民票」の代わりに「在留証明」を取得する必要があります。

上記方法をとることで郵送のやり取りのみで解決することができます。

3.相続人の一人が行方不明の場合

相続人の一人が行方不明の場合というのもございます。

その場合の基本的な進め方は、

  • 行方不明者の戸籍を取りつけ、転籍していないか調べる。
  • 転籍地をたどって今現在の戸籍を調べる。
  • 戸籍の附票をとり、現在の住所を調べる
  • 配達証明郵便を送付し、連絡を待つ

といった流れになるかと思います。自己の権利の行使義務の履行という理由であれば、役所でも協力してくれるはずです。

不在者財産管理人選任申立および権限外行為許可の申立

上記の手続きを踏んでもなお行方がしれない場合は、家庭裁判所は,申立てにより,不在者自身不在者の財産について利害関係を有する第三者の利益を保護するため,財産管理人選任等の処分を行うことができます。

このようにして選任された不在者財産管理人は,不在者の財産を管理,保存するほか,家庭裁判所の権限外行為許可を得た上で,不在者に代わって,遺産分割,不動産の売却等を行うことができます。

不在者管理人を交え、遺産分割協議を進めることができます。

4.相続人の一人が行為制限能力者である場合

相続人の一人が未成年であり、その親権をおこなう父母も共同相続人であって、遺産分割協議により、親権者と未成年者で利益相反する場合は、子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければなりません。

特別代理人は、利害関係を有さないその子の「叔父や叔母」等でも大丈夫です。勿論、法律専門家であっても可能です。

また、認知症などの「成年被後見人」で利益相反をしない「後見人」がいる場合は、その「後見人」が代理となることができますが、利益相反となる場合は、やはり特別代理人を選任しなければなりません。

特別代理人をもって遺産分割協議を進めることとなります。

5.遺産分割協議がまとまらない・できない

最後に、遺産の分割について相続人の間で話合いがつかない場合には家庭裁判所の遺産分割の調停又は審判の手続を利用することができます。争いやもめ事で協議がまとまらない場合や、できない場合があります。

調停は、裁判所の調停委員を交え、話し合いをし、第三者の中立公平な意見を交えることにより、協議がまとめやすくなること。

調停でもまとまらない場合は、審判へと移り、裁判官が遺産に属する物又は権利の種類及び性質その他一切の事情を考慮して,審判をすることになります。

以上、遺産分割協議ができない場合の対処法についてまとめさせていただきました。

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