遺産を特定の人に相続させたくない場合にやっておくべきことについて

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昨日の夜、テレビ番組で終活についての放送がありました。ご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、我が日本では「遺言」を書く人は、わずか1.3%に過ぎず、イギリスなどでは、遺言の作成は、紳士のたしなみとやらで、実に80%程度の人が遺言を作成するようです。

皆様、ご自身で「遺言」を書こうとする方はあまりいらっしゃらないかと思いますが、実は非常に有効かつ重要な制度となります。

Ⅰ.遺言

相続のイメージというと非常に受動的で、黙っていると法律の定めに従って遺産が分割されてしまい、兄弟間での争いなんてことを想像しがちですが、「遺言」は、民法の定めよりも優先されますので、能動的に財産の処分ができます。

特に次のような方は、遺言を書かれることをお勧めいたします。

配偶者と自分だけで子供がいない夫婦

つまり相続人がご自身配偶者の兄弟姉妹あるいは甥姪となるケース

相続人の中に相続させたくない人がいる人

相続人の中に非行を繰り返したり、ご自身に対し虐待をした者がいるケース

配偶者とご自身が再婚をしていて、前婚の子がいる方

特に子が幼いころに離婚をしてまったく交流のない子と再婚後の配偶者が競合するケース

結婚前に養子縁組をした子がいる方

実子と養子で競合するケース


 

例えば、子がいない夫婦で、相続人が配偶者と甥のみだとします。相続財産は、銀行預金のみで、自分が死んだ後はすべて配偶者の生活のために預貯金を処分したいと願っていたとします。もし、「遺言」による財産の処分の指定がない場合、民法の定めに従い、配偶者が4分の3甥が4分の1という法定相続分となります。

残された配偶者が、自分の生活費のために預貯金を切り崩そうとしても、銀行は法定相続人全員の「遺産分割協議書」等がないと預貯金を凍結し、触ることができなくなります。つまり、あまり交流のない甥に印鑑証明の取得や実印を捺印してもらった協議書の作成に協力してもらわない限り、当面の生活費にも困ってしまうこととなります。

上記のような方は、便箋で構いませんので、自筆にて下記のように遺言を作成してください。

遺言書

遺言者〇〇〇〇は、すべての財産を妻〇〇に相続させる。

令和元年11月7日

遺言者 〇〇〇〇 実印

これに封筒に入れ封をして封印に実印を押し、日付を書くだけです。たったこれだけで、自分亡き後、妻が預貯金の処分に困ることがなくなります。

Ⅱ.遺言の書き方

もう少し、遺言について詳しく知りたい人のために「書き方」とその効果について示します。

遺言」は、一般的には「ゆいごん」といいますが、法律用語では「いごん」と読みます。

  • 遺産を誰かに相続させたい場合、法定相続人に相続させたい場合は、「Aに相続させる」と書きます。
  • 法定相続人以外の者に渡したい場合は、「Bに遺贈する」と書きます。

 

  • 遺言者の遺産に属する特定の財産を目的として受遺者に遺贈することを「特定遺贈」といいます。

    例えば、「不動産○○をAに遺贈する」といった場合です。

  • 遺言者の遺産の全部または一部について、割合を持って受遺者に遺贈することを「包括遺贈」といいます。 

    例えば、「全財産の3分の1をBに遺贈する」といった場合です。

特定遺贈」と「包括遺贈」ではその効果が違ってきます。

例えば、特定遺贈の場合ですと、受遺者はその遺贈を放棄しようとした場合は、遺言執行者に放棄する旨の意思表示すれば放棄することができます。そしてその放棄の期限に定めはなくいつでも放棄ができます。

対して、「包括遺贈」の場合、受遺者は、相続開始を知ったときから3か月以内に家庭裁判所に対して「遺贈放棄申述」を行わなければ、放棄の効力が生じません。

また、正の財産だけでなく負の財産も引きうけます。加えて、遺産分割協議にも参加しなければなりません。

遺言の例文で出したような、「全財産を妻〇〇に相続させる」といった「相続させる」遺言を特定財産承継遺言といいます。法的性質は、相続による一般承継ですので改めて遺産分割協議をすることなく受遺者の固有財産となります。

その他注意する点は下記になります。

加えるとなお遺言執行がスムーズにいくと思われます。

  • 相続させる人が自分よりも先に亡くなってしまった場合も想定して予備的遺言も考えること
  • スムーズな遺言執行のためあらかじめ「遺言執行人」を指定すること
  • 相続されない人の心情を考え「付言」で何故このような遺言になったかなどを加筆すること
  • あらかじめ誰が法定相続人となるのかを戸籍を取り寄せ調べておくこと
  • 不動産の謄本や預金通帳のコピーを遺言に添付すること

以上遺産を特定の人に相続させたくない場合にやっておくべきことについてですが、実は、このような悩みを持っていらっしゃる方は数多くいます。

妻と2人で血と汗の結晶として築き上げた財産に、何の関係もない甥や姪が相続の段階で法定相続分を主張するのです。

専門家の手を借りたい方はぜひお問い合わせください。

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