今回は、行政書士の仕事として欠かすことのできない「公簿」について書きたいと思います。私人の権利行使や義務の履行に欠かすことのできない書類で、何かの許認可を取りたい場合や、相続による財産の承継等で取り付ける書類になります。
「公簿」とは何か、辞書を調べると、
公簿とは・・・官公署が法令の規定に基づいて作り、常に備えておく帳簿
とあります。
目次
1.公簿の種類
主に不動産系の公簿、税金に関する公簿、私人の身分関係に関する公簿に分類することができます。
それぞれ列記をしますと下記のような書類がございます。
不動産系公簿
- 不動産全部事項証明書(登記事項証明書)
- 地図、地図に準ずる図面(公図)
- 地積測量図、建物図面
- 登記識別情報及び登記完了証/登記済証(権利証)
税金系公簿
- 固定資産税評価証明書
- 納税証明書
身分系公簿
- 住民票の写し
- 戸籍謄本
- 戸籍附票の写し
- 印鑑証明書
- 貢献登記事項証明書/登記されていないことの証明書
- 身分証明書
- 商業登記簿 履歴事項全部証明書
2.不動産登記法
「不動産登記法」は明治32年に施行され、制定当時の登記制度の目的は、租税徴収のための台帳づくりのためだと言われています。しかし、その後今日のような取引の安全と円滑に資するための公示制度としての「登記」に変遷しています。
民法176条によりますと、不動産の物件の設定や移転などの物権変動は、当事者の意思表示だけで効力が生じますが、民法177条によると、そのことを登記しなければ、当事者以外の第三者にはその変動があったことを主張することができません。
このことを登記の第三者対抗力と言います。
ただし、登記には公信力がないので、登記があるからといって真の所有者であることが保証されるというわけではありません。(過去に不動産登記を信頼し、土地収用を行った行政が、裁判で登記のない真の所有者に負けたという判例があります)
上記を簡単に説明しますと、Aさんが自分の甲不動産をBさんに譲渡した場合、AさんとBさんの当事者間においては、有効な売買契約がされていれば、「移転登記」をしていなくても、Bさんが不動産の取得を主張できます。
AさんとBさん以外の第三者Cがその甲不動産を手に入れたいと思っていて、登記事項証明書を取り寄せたところ、移転登記がされていないので、Aさんに甲不動産に売って欲しいとの打診をします。
Aさんは、所有権の移転登記がされていないことをいいことに、Cさんに甲不動産を売却します。(2重譲渡)その後、Cさんが所有権を移転登記してしまえば、BさんはCさんに自己の所有権を主張することができないということになります。
Bさんは、Aさんとの間においては、所有権の主張ができますが、Cさんとの間では、対抗要件となります。勿論、BさんからAさんに対して、解除権や損害賠償などの責任追及はすることができるので、ご安心ください。
ただし、Cさんに関しては、一応は、登記事項証明書を見たうえで、Aを真の所有者と判断したわけですから、Bが所有者であることを知らなかったことに善意無過失というわけです。
そして、登記事項証明書は、このような不動産の取引きの安全に寄与する制度ですから、誰でも他人の不動産の登記事項証明書を取り付けることができます。
よく、不動産登記や商業登記を第三者である他人が取れることを知らず、驚かれる方がいらっしゃいますが、そもそもが、取引の安全がその目的ですから、誰でも取得できます。
また、不動産登記事項証明書には、登記簿以外に地図と建物所在図を備え付けるようになっており、地図には地番、建物所在図には家屋番号が表示されています。地図が整備されていない都心部などは、地図に準ずる図面(いわゆる公図)が備え付けられていますが、公図の場合、正しく反映されていないケースがあります。
登記識別情報及び登記完了証とは、
12桁の数字と記号の組み合わせで、登記済証に代わる新しいものです。銀行のキャッシュカードの暗証番号を長くしたようなものと考えて下さい。なお、登記識別情報の12桁の組み合わせはランダムであり、番号の指定はできません。
登記識別情報は、次回の登記申請の際に本人確認手段の一つとして使用する重要なもので、第三者に盗み見られたり、無断でコピーをとられたりしないように厳重に管理する必要があります。登記識別情報を記載した部分には目隠しシールが貼ってありますので、シールを剥がさずに保管することをお勧めします。また、このシールは一度剥がすと元に戻せませんのでご注意下さい。
3.税金系公簿
税金系の公簿としましては、固定資産税評価証明書や納税証明書があり、納税証明書には、法人に対する法人税に係るもの(税務署にて発行)や、消費税に係るもの(税務署にて発行)や、法人事業税に係るもの(都道府県民税)、個人であれば、所得税や住民税(市区町村)などの証明書が取れます。
主に財産や支払い能力を証明するために利用されるものとなります。
4.身分系公簿
言わずと知れた、血縁関係や住所等の証明、本人確認の証明となるものです。
住民票の写しや戸籍謄本、印鑑証明書などがこれに当たります。
恐らく知らない方も多いかと思いますが、何かの商売をしようとした場合、往々にして問われるのが、「行為制限能力者でない事」というのが許認可の要件となります。
例えば、成年被後見人でない事や破産手続き開始の決定を受け、復権を得ていない者等は、職業によっては責任能力がないということで営業をすることができないというのがほとんどです。
その行為能力に制限がない事の証明に際し、「登記されていないことの証明書」(法務局での取り付け)や「身分証明書」(本籍地での取り付け)の取り付けが必要となります。
以上、公簿についての種類と詳細についてでした。








