一般社団法人colaboの委託事業不適切経費処理問題について

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現在、ネットの世界で騒がれている問題があります。時事通信社の記事を引用すると次の通りとなります。

委託事業で不適切経費 若年女性の支援巡り―東京都監査委員

どういう問題かと言いますと、虐待や性暴力を受けた10代少女たちを支援する事業を東京都から委託され行っている一般社団法人colaboとういう事業者が2021年度、女性に対する支援事業を2600万円で都から委託されたが、都に提出した書類に領収書が添付されていない事例が見つかったり、宿泊費や飲食代を水増し請求したのではないかということで東京都監査委員会から再調査勧告等を受けているという問題です。

東京都からの委託事業とは、本来行政がすべき仕事ですが、ノウハウがなかったり、職員の人員の問題で、民間の事業者にその仕事を委託したものとなり、国(厚生労働省)から地方自治体に対し、2分の1が補助金という形で交付されている事業になります。

つまり、われわれの税金から公金として事業が行われているにも関わらず、ずさんな経理処理が行われているとの指摘を受けたものになります。

事業の目的としては、崇高な目的を掲げているだけに残念ですが、公金を扱っているという重みを真摯に受け止め、領収書等情報の開示や不当に利得をしていたのであれば、返還等に応じていただきたいものですが、逆にcolabo側は、請求人に対し、名誉棄損などを理由に弁護団を結成し、訴えを起こしています。

その上、ここからは疑惑の段階ですが、colabo側は、保護した少女を沖縄の普天間基地反対のデモに参加させていたり、生活保護を不正に受給させることに加担したのではないかと言われており、政治家や弁護士などを巻き込み更に大きな問題へと展開する様相を含んでいます。

今回の一連の問題を指摘したのは、暇空茜さんという方が、行政の情報開示請求をしたうえで、住民監査請求をし、監査の結果、当該請求に理由ありと認められた訳です。

で、住民監査請求とは何ぞや?という疑問に触れ、今回は住民監査請求について記載したいと思います。

住民監査請求

住民監査請求については、根拠法が地方自治法の242条になります。

(住民監査請求)
第二百四十二条 普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出財産の取得管理若しくは処分契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある(当該行為がなされることが相当の確実さをもつて予測される場合を含む。)と認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実(以下「怠る事実」という。)があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によつて当該普通地方公共団体の被つた損害を補塡するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。

つまり、その地方公共団体に居住する住民は、誰でも当該地方公共団体の長・委員・職員等について違法または不当な財政支出等があると認めるとき、証拠書面を添えて、監査請求をすることができます。

例えば、以前問題となった、市川市の村越市長が、公金で市長室にシャワー室を設けたり、高級家具を取り揃えたりなどの不当な公金支出が問題となりましたが、市川市民である僕個人も証拠を取り揃えて監査請求をすることができます。

また条例の制定・改廃の直接請求や議会の解散・長の解職請求は、選挙権を有するもののみにしか認められていませんが、住民監査請求は、住民であれば、子供であっても・外国人であっても誰でも請求ができます。

また、直接請求やリコールの請求は、選挙総数のある一定以上の連署を集めた上でないと請求することができませんが、住民監査請求は、一人であっても請求することができます。

請求の相手方は、あくまでも行政にかかわる長や職員、委員会、委員であって、行政取引の相手方ではございません。そして監査委員も勧告は、行政に対してとなります。

2 前項の規定による請求は、当該行為のあつた日又は終わつた日から一年を経過したときは、これをすることができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

そして、住民監査請求は、基本は、行為のあった日から一年間となります。

ところで、監査をするのは監査委員となりますが、これについても記載したいと思います。

監査委員

地方自治法では、普通地方自治団体には、監査役を置かなければならない旨を定めています。

第百八十条の五 執行機関として法律の定めるところにより普通地方公共団体に置かなければならない委員会及び委員は、左の通りである。

一 教育委員会
二 選挙管理委員会
三 人事委員会又は人事委員会を置かない普通地方公共団体にあつては公平委員会
四 監査委員
監査委員は、都道府県または政令で定める市にあっては四人とし、その他の市区町村においては二人となります。ただし、条例でその定数を増加することができます。ちなみに東京都においては、五人になります。
 
では、どのような人が監査委員となるのかですが、
第百九十六条 監査委員は、普通地方公共団体の長が、議会の同意を得て、人格が高潔で、普通地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関し優れた識見を有する者(議員である者を除く。以下この款において「識見を有する者」という。)及び議員のうちから、これを選任する。ただし、条例で議員のうちから監査委員を選任しないことができる。
② 識見を有する者のうちから選任される監査委員の数が二人以上である普通地方公共団体にあつては、少なくともその数から一を減じた人数以上は、当該普通地方公共団体の職員で政令で定めるものでなかつた者でなければならない。
③ 監査委員は、地方公共団体の常勤の職員及び短時間勤務職員と兼ねることができない。
④ 識見を有する者のうちから選任される監査委員は、常勤とすることができる。
⑤ 都道府県及び政令で定める市にあつては、識見を有する者のうちから選任される監査委員のうち少なくとも一人以上は、常勤としなければならない。
⑥ 議員のうちから選任される監査委員の数は、都道府県及び前条第二項の政令で定める市にあつては二人又は一人、その他の市及び町村にあつては一人とする。
つまり、監査委員は有識者議員から構成されます。東京都に場合は、都議会議員の監査委員が2人、有識者監査委員が3人となり、有識者監査委員の内訳は、元警視庁にお勤めであった茂垣監査委員、厚労省や民間会社の取締役等を経験されてきた岩田監査委員、そして公認会計士の松本監査委員となります。
 

住民監査請求の流れ

さて住民監査請求があったときは、監査委員は直ちに当該請求の要旨を当該普通地方公共団体の議会及び長に通知しなければなりません。

そして当該行為が違法であると思料するに足りる相当な理由があり、当該行為により当該普通地方公共団体に生ずる回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、当該行為を停止することによつて人の生命又は身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがないと認めるときは、監査委員は、当該普通地方公共団体の長その他の執行機関又は職員に対し、理由を付して次項の手続が終了するまでの間当該行為を停止すべきことを勧告することができる。この場合において、監査委員は、当該勧告の内容を請求人に通知するとともに、これを公表しなければなりません。

監査を行い、当該請求に理由がないと認めるときは、理由を付してその旨を書面により請求人に通知するとともに、これを公表し、当該請求に理由があると認めるときは、当該普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関又は職員に対し期間を示して必要な措置を講ずべきことを勧告するとともに、当該勧告の内容を請求人に通知し、かつ、これを公表しなければなりません。また監査委員の監査及び勧告は、請求があつた日から六十日以内に行わなければなりません。

今回の件は、監査の結果、請求に理由ありと認められ、担当部署である東京都福祉保健局に対し、2月28日までに再調査を行うことを勧告しています。

これを受け、もし議会が当該請求に係る行為又は怠る事実に関する損害賠償又は不当利得返還の請求権その他の権利の放棄に関する議決をしようとするときは、あらかじめ監査委員の意見を聴かなければなりません。
 
住民監査請求を受け、監査委員からの必要な措置を講ずべきことの勧告がされたにもかかわらずなおその措置に不服等がある場合、住民監査請求を行った住民は、住民訴訟を提起することができます。ただし、住民訴訟は、違法を理由として提起することは出来ますが、不当を理由として提起することはできません。
 
違法と不当の違いは、違法は法律に違反しているが、不当は法律違反はないけど妥当ではないという事になります。今回の件は、再調査の結果違法とみなされるか不当止まりかによります。

住民訴訟

(住民訴訟)
第二百四十二条の二 普通地方公共団体の住民は、前条第一項の規定による請求をした場合において、同条第五項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第九項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第五項の規定による監査若しくは勧告を同条第六項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第九項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第一項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもつて次に掲げる請求をすることができる。
訴えをもって請求できる内容は次になります。
一 当該執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求
二 行政処分たる当該行為の取消し又は無効確認の請求
三 当該執行機関又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求
四 当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求。ただし、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方が第二百四十三条の二の二第三項の規定による賠償の命令の対象となる者である場合には、当該賠償の命令をすることを求める請求
そして訴えの区分に応じて起算点は変わりますが、訴えの提起は、30日以内に行わなければならないと規定されています。
 
万一今回の件で当該行為が違法とされた場合、四項の相手方(colabo)に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを自治体に求めていく請求になるかと思います。
 
訴訟の結果、訴訟について、損害賠償又は不当利得返還の請求を命ずる判決が確定した場合においては、普通地方公共団体の長は、当該判決が確定した日から六十日以内の日を期限として、当該請求に係る損害賠償金又は不当利得の返還金の支払を請求しなければなりません。
 
第四項による訴訟が提起された場合には、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実の相手方に対して、当該普通地方公共団体の執行機関又は職員は、遅滞なく、その訴訟の告知をしなければなりません。そして当該訴訟の裁判は、当該普通地方公共団体と相手方(colabo)との間においてもその効力を有します。
 
住民訴訟にまで発展するのかどうかは今のところ不明ですが、事業の内容として弱者救済を目的とした公益性の高い事業であること、事業が我々の血税の中から行われる訳ですから透明性を確保し、公正をもって行われるべきです。ですのでcolabo側は、真摯に反省をし疑いを晴らすべく領収書の提出し、不当に利得をしていたのであれば返還金を支払ってほしいものです。
 
この問題の根深さは、ネットの世界では非常に大問題として扱われているのにも関わらず、新聞・TVは、勧告が出るまで全く報道をしていないこと。却って外国のマスコミの方が詳細に調べた上で、記事にしていることに問題があります。
 
今後の行方について注意深く見守っていきたいと思います。
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