成年について

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振り袖画像

今週の月曜日は、成人の日で、全国各地で成人式が行われ、かく言う僕の住む市川市でも成人式が執り行われて、華やかな振り袖姿の新成人を見ることができました。

晴れて成年となられた方々がいらっしゃるわけですが、成年未成年の大きな違いとは一体何が違うと思いますでしょうか?

民法では、成年を

年齢ニ十歳をもって、成年とする。

とあります。

1.制限行為能力者

成年者と未成年者の大きな違いは、「行為能力があるかないか」という部分になります。

行為能力とは・・・契約などの法律行為を単独確定的有効に行うことができる能力を言います。

未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意(親権者など)を得なければなりません。

例外として、単に権利を得、義務を免れる法律行為についてはこの限りでない。とあります。

例えば、まったく負担の無い、金銭の贈与を受けること(お年玉をもらう行為)や、借金を帳消しにしてもらうことなどです。

実は、未成年者は、制限行為能力者ということで、法律で手厚く保護をされた存在であると言えます。

2.未成年者取消権

そして、未成年者が法定代理人の同意を得ないで行った法律行為は、取り消すことができます。取り消すことができるのは、未成年者本人とその法定代理人です。

ただし、未成年者が、自分が成年者だと信じさせるために詐術を使った場合は、未成年者が行った法律行為は取り消すことができません。

万一、未成年者と何かしらの契約を締結してしまった場合、その相手方は、非常に大変なことになります。

まず、契約の相手が「未成年者」ということを理由としてその契約を相手方から取り消すことはできません。未成年者の側からいつ取り消されるかもわからないままに不安定な、宙ぶらりんな状態になりますよね!

しかも、行為能力者(通常の大人)がその法律行為を取り消す場合は、既に受領した物などを現状に復して返還しなければなりませんが、未成年者が取り消した場合は、現に利益を得ている限度で返せばよい事になります。

どういうことかと言いますと、例えば未成年者が、自分名義の土地を親権者の同意なく1000万円で売却し、現金を受け取ったが、その現金をギャンブルで費消してしまい、手元には、200万円しか残っていないとします。

親権者の同意がない事を理由にその行為を取り消した場合、未成年者の相手方は、その土地を返還するのと同時に、現存利益である200万円を返還してもらえるにとどまります。ギャンブルで費消した800万円については、取り戻すことができません。(成年者であれば1000万円を取り戻せる)

では、取り消すことができなくなるまで放っておいた場合はどうでしょう?

取消権は追認をすることができる時から五年間行使しないときは、時効によって消滅します。行為の時から二十年を経過したときも同様です。

ただし、未成年者にとって追認をすることができるときとは、成年者となったときですから、成年になるまでは、時効は進まないこととなります。

いずれにしろ未成年者との契約は、非常にリスキーであることとなります。

3.相手方の催告権

未成年者と取引をしてしまったがために、いつ取り消されるかもわからない不安定な状態の相手方は、不安定なままというのも酷です。

そこで、民法では相手方に催告権というのを認めています。

催告権とは、

  1. 制限行為能力者(未成年者)が行為能力者(成年者)とならない間に、その法定代理人(親権者)に対し、一か月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができます。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなします。
  2. 制限行為能力者が行為能力者となった後、その者に対し、一か月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができます。その者がその期間内に確答を発しないときも上記と同様になります。

催告を積極的にし、不安定な状態に決着をつけることができます。

4.未成年者による代理

通常の当事者となった未成年者の法律行為に関しては、制限行為能力者として法律行為が制限される未成年者ですが、誰かの代理人となる場合は、未成年者でも可能です。

民法102条

代理人は、行為能力者であることを要しない。

何故なら、代理人は、本人(代理を委任した人)のために法律行為を行うのであって、その効果は、本人に帰属するからです。

ですので、親の代理で売買契約を行う等の行為は、未成年者であっても可能です。

5.成人年齢の引き下げ

明治9年から続いてきた日本の成人年齢は、2022年4月1日から18歳に引き下げられます。

既に開始している、選挙権や憲法改正の投票権に加え、2022年以降は、18歳・19歳の方は、単独で有効な契約ができ、親の親権に服さなくなるので、住居を決めたり、携帯電話を契約したり様々な契約が、親の同意なしにできることになります。

ただし、飲酒や喫煙に関しては、従来の20歳以上で据え置きのようです。

 

 

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