先日、都内の某お客様との経営事項審査の打ち合わせに車で向かっている途中のことです。
都内の某所の建設現場から一台のトラックが自分の車の前に侵入してきました。
荷台には、アスファルトの路盤のガラをたくさん積んでおり、その後ろを走行するのに、荷台からガラが今にも落ちてきそうで怖かったため、車間距離を開けながら走行していましたが、重量物を積んでいるためか、かなり速度が遅いため、追い越し車線から追い抜く際にトラックの側方を確認すると、「産業廃棄物収集運搬車」の表示がない事が確認できました。
建設現場から出てきたからには、産業廃棄物の「がれき類」に該当すると思うのですが、産業廃棄物を収集運搬するからには、運搬基準として車両の側面に表示義務があります。
これは、許可の必要のない排出業者=元請が自ら自社運搬する場合であっても表示義務は必須です。しかも、見るからに元請業者の様な外観をしていません。
では、無許可業者による運搬なのでしょうか?
その後、当該トラックは、僕の進行方向とは別の道に左折をしていきましたが、事の真相はわかりません。
目次
廃棄物の処理及び清掃に関する法律
ところで、産業廃棄物の収集や運搬を行うには、法律の規定があります。
第十四条 産業廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその産業廃棄物を運搬する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。
ただし書以降に「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者」は、許可が必要ないと言っています。
もしかしたら僕が知らないだけで、アスファルトのガラが、何かしら再生利用として有価物として売買されているのかもしれません。
※廃棄物の反対の意味が有価物となり、廃棄物の定義は、
占有者が自ら利用したり他人に有償で譲渡できない不要となった固形状又は液状のもの
とありますので、反対解釈では他人に譲渡したり自ら利用できれば「有価物」ということになるかと思います。
そんなこんなの出来事がありそんなことも忘れていた先日、日本行政書士連合会から月刊「日本行政」7月号が届き、その中に産業廃棄物の許可制度に触れた記事がありました。
この中で、何が法律の定める「廃棄物」に該当するのかの基準を示した「おから事件」についての記載がありました。
おから事件(最高裁平成11年3月10日第二小法廷決定)
(事の概要)
おからは、皆さんご存知の大豆から豆腐を製造する過程で豆乳を絞った際の搾りかすのことです。
被告人のAさんが、無許可で「おから」の処理委託を受け、処理料金を得たうえで、収集運搬し、飼料や肥料に加工製造していたところ、前記の「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第14条等の違反として起訴された事件です。
Aさんは、「おから」を廃棄物として明文で規定した法律がない点、「おから」を再生加工することにより飼料・肥料とすることを企図したものであり、もっぱら再生利用目的とするもののみの収集又は運搬を業として行う者を除外事由とする廃掃法14条1項但書・4項但書に該当するものである点、「おから」は食用にもなるのでそもそも不要物にあたらないこととして反論いたしました。
(決定要旨)
それに対しての結果は以下の通りとなりました。
産業廃棄物について定めた廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(平成5年政令第385号による改正前のもの)2条4号にいう『不要物』とは、自ら利用し又は他人に有償で譲渡することができないために事業者にとって不要になった物をいい、これに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取り扱い形態、取引価値の有無及び事業者の意思等を総合的に勘案して決するのが相当である。
そして原判決によれば、おからは、豆腐製造業者によって大量に排出されているが、非常に腐敗しやすく、本件当時、食用などとして有償など取引きされている利用されるわずかな量を除き、大部分は、無償で牧畜業者等に引き渡され、あるいは、有料で廃棄物処理業者にその処理が委託されており、Yは、豆腐製造業者から収集、運搬して処分していた本件おからについて処理料金を徴していたというのであるから、本件おからが同号にいう『不要物』に当たり、前記法律2条4項にいう『産業廃棄物』に該当するとした原判断は、正当である。
この判決を基に、「廃棄物該当性」は、以下の5つの要件に照らして個別に判断していくこととなります。
(1)物の性状
利用用途に要求される品質を満足し、かつ飛散、流出、悪臭の発生等の生活環境保全上の支障が発生する恐れのないものであること。
(2)排出の状況
排出が需要に沿った計画的なものであり、排出前や排出時に適切な保管や品質管理がなされていること。
(3)通常の取扱い形態
製品として市場が形成されており、廃棄物として処理されている事例が通常は認められないこと。
(4)取引価値の有無
占有者と取引の相手方の間で有償譲渡がなされており、なおかつ客観的に見て当該取引に経済的合理性があること。
実際の判断に当たっては、名目を問わず処理料金に相当する金品の受領がないこと、当該譲渡価格が競合する製品や運送費等の諸経費を勘案しても双方にとって営利活動として合理的な額であること、当該有償譲渡の相手方以外の者に対する有償譲渡の実績があること等の確認が必要であること
(5)占有者の意思
客観的要素から社会通念上合理的に認定しうる占有者の意思として、適切に利用し若しくは他人に有償譲渡する意思が認められること、又は放置若しくは処分の意思が認められないこと。
いくら占有者の意思として利用・有償譲渡の意思があることを主張したとしても、前述の(1)から(4)までの各種判断要素の基準に照らし、適切な利用を行おうとする意志があると判断されない場合、又は主として廃棄物の脱法的な処理を目的としたものと判断される場合には、占有者の主張する意思の内容によらず、廃棄物に該当するものと判断されること
「おから」事件は、決定の下段の文言に「廃棄物」に該当すると判断された理由が集約されていると思います。Aさんは、廃棄物の脱法的な処理を目的としたものと判断されたわけです。
ただし、上記決定は、おから一般について産業廃棄物にあたると判示したわけではないと言っています。それぞれ個別に5つの要件に照らして判断されることになります。
産業廃棄物処理業の許可制度
廃棄物処理法は制定当時から産業廃棄物の処理責任は排出事業者にあると定め、その処理のために適正な費用を負担する責任感に欠けた事業者や不法投棄、無許可業者を排除し、適切に処理がされ重大な環境汚染の防止の観点から許可制となっています。
廃棄物に該当するかどうかの判断がつかない事業者様は、ぜひ行政書士に相談下さい。







