「改ざん、紛失対策」自筆証書遺言に係る遺言書の保管制度

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
遺言書の画像

2020年7月10日をもって「法務局における遺言書の保管等に関する法律について」が施行されます。

現在、僕自身も来る7月10日をもってこの制度を利用する予定の案件が2件ほどございます。実際の運用面での規定がずっと未定であったため、保留状態になっているわけですが、法務省のHPにて4月20日付で一部詳細が告知されました。

コロナ騒動により今日現在まで、調べることが後回しとなってしまっていました。

制度開始によって何が変わるのか?

さてこのブログをお読みいただいている方には、もちろん法律とは無関係の方々もいらっしゃるかと思います。まずは、この制度により何が変わるかについて触れたいと思います。

遺言には、普通方式遺言特別方式遺言というのがございます。特別方式遺言は、死亡が迫っていたり、船舶で遭難状態にあったりと、普通方式で遺言をすることができない場合の定めで、一般の方は、特にこの特別方式遺言について気に留めることは不要かと思います。

そして、普通方式遺言は、次の3種類の方法が定められています。

  • 自筆証書遺言・・・遺言の全文・日付・氏名を自署し、押印をしたもの
  • 公正証書遺言・・・遺言の趣旨を公証人に口授したものを公証人が筆記した上で、遺言を作成し、公証人が遺言者と証人2名以上の前で読み聞かせた後に遺言者・証人・公証人が遺言の正本に署名・押印を加えたもの
  • 秘密証書遺言・・・作成した遺言に署名・捺印した後に封じた上で、封印をし、公証人・証人2人以上の前で、自己の遺言書である旨・筆者の氏名・住所を申述し、公証人・遺言者・証人が署名・押印をしたもの

公正証書遺言は、正本が公証役場に保管され、遺言も法律のプロである公証人が作成するので、より有効ではありますが、自筆証書に比べ作成費用が高い事。

秘密証書遺言も公正証書遺言に比べれば、費用は安いですが、同様に費用がかかることがデメリットとして挙げられます。

対して、自筆証書遺言は、要式こそ難しいですが、費用の面で安くできるというメリットがあります。

その反面デメリットとして、遺言の保管場所は大抵が、ご自宅の仏壇金庫だったりというのが大多数ですから、相続人がその遺言を発見し、開封してしまった場合、自己に不利な内容だったとしたら、その遺言書破棄してしまったり、隠匿したり、改ざんされる恐れがあります。

また、せっかく作成した遺言書が発見されず、遺言の内容が実現されなかったなどのリスクもございます。

結果として相続をめぐる紛争が生じかねません。

※本来、遺言書を発見したら開封してはだめです。速やかに家庭裁判所に届け出て、検認の手続きをしましょう!!

このデメリットを解消した上で、相続をめぐる紛争防止に有効な遺言制度をより手軽に利用してもらおうという趣旨から、公的機関である法務局で遺言書を保管する制度が始まります。

その効果としては、遺言書の紛失や隠匿等の防止や遺言書の存在の把握が容易になるという効果が期待され、より紛争防止としての遺言作成を手軽に利用してもらえることが可能になります。

保管の申請の流れ

保管の申請の流れを説明します。

1.自筆証書遺言に係る遺言書の作成

従来同様に要式が厳格に定められていますので、内容につきましては、法律のプロに相談することをお勧めいたします。法務局では、遺言の内容についてまでの審査はしないと謳ってます。

2.保管の申請をする遺言書保管所を決める

保管の申請ができる遺言書保管所は、遺言者の住所地、遺言者の本籍地、遺言者が所有する不動産の所在地のいずれかを管轄する遺言書保管所(法務局)となります。

3.申請書を作成する

申請書に必要事項を記入(申請書は、今のところ法務省HPからダウンロードするか法務局の窓口で備えつけとなるようですが、申請書自体はまだ決まっていないようです)

4.保管の申請の予約をする

予約の開始が7月1日からの様です。

5.保管の申請をする

申請の際に必要となるものは、下記となります。申請は遺言者本人が赴く必要がございます。

  • 遺言書・・・ホッチキス止めは×封筒は不要
  • 申請書・・・あらかじめ記入した物
  • 添付書類・・・本籍記載のある住民票の写し(作成後3か月以内)
  • 本人確認書類(有効期限内のものをいずれか一点)マイナンバーカード、運転免許証、運転経歴証明書、パスポート、在留カード、特別永住者証明書
  • 手数料・・・3,900円
6.保管証を受け取る

手続終了後、遺言者の氏名、出生の年月日、遺言保管所の名称及び保管番号が記載された保管証が渡されます。

相続開始後の流れ

相続開始後に、相続人・受遺者・遺言執行者は、遺言保管所(法務局)に対し、次のことができます。

  1. 遺言書が預けられているかの確認(遺言保管事実証明書の交付請求)
  2. 遺言書の内容の証明書の請求(遺言書情報証明書の交付請求)
  3. 遺言書の閲覧

従来の自筆証書遺言は、遺言書を発見した場合、開封は禁じられており、家庭裁判所の「検認」手続きが必要でしたが、遺言保管所に保管した場合は、「検認」が不要となります。

そして、相続人の一人が、証明書の交付請求や閲覧の申請をした場合、他の相続人に遺言書が保管されている旨の通知がされます。

遺言書情報証明書」が今までの遺言書原本に変わり、相続登記や銀行での各種手続きに使用できるようになるようです。

遺言書の様式について

形式面において、画像データ化のため、今までとは違う点について記します。

001318459

まず、画像データ化のため、遺言の用紙は、A4サイズ限定で、地紋や彩色のない用紙への記入が必要となります。

余白に関しても決められており、上余白5ミリメートル以上、左余白20ミリメートル以上、右余白5ミリメートル以上、下余白10ミリメートル以上

数枚に渡る場合は、通し番号でページ数を記入、財産目録を添付する場合は、通帳のコピーや登記簿の写しでも可能ですが、署名・捺印が必要です。

複数枚になった場合でも、契印は不要、封筒も不要です。

遺言書の中身につきましてはやはり、有効な内容となっていることが必要ですので、専門家に相談されることをお勧めいたします。

保管をしたからといって、撤回も可能ですし、変更もできます。

定期的に遺言の中身を見直したい方にとっても有効な制度ではないかと思います。

以上、自筆証書遺言に係る遺言書の保管制度についてでした。

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す