今後の備忘録のために記したいと思います。
百戦錬磨の先生方であればご存知かとは思いますが、相続業務を行う中で被相続人が帰化してるケースがあります。
被相続人の戸籍を集めると、当然ながら帰化以前の戸籍は取得することができません。
とはいえ、相続に関しては、相続人の確定作業が当然ながら必要となりますので帰化以前の家族関係についても調査が必要となります。
では、帰化以前の戸籍等を収集するにはどうすれば良いかといいますと、従前の国籍の大使館にて、日本の除籍謄本に代わる書類を取り付けなくてはなりません。
その際に、帰化の事実が記載された日本の戸籍謄本などを添付する必要があるのですが、日本の戸籍には本国名の記載がなく通名のみの場合があり、日本の戸籍に記載されている人と申請者が同一なのかの確認が取れずに申請が却下され交付を受けることができないことがあります。
申請に際しては、申請対象者の名前、生年月日、本国での登録基準地(日本で言う本籍)を記載して申請しますが、その裏付けとしての公的書類添付が求められます。
つまり添付書類では、本人の情報が足りないということですが、その場合どうすれば良いでしょうか?
目次
閉鎖外国人登録原票
外国人の情報については、平成24年7月に入管法の改正により従来の外国人登録原票制度が廃止され、在留カードによる管理となることになりました。同時に外国人も住民基本台帳の登録対象者となり、それまで市区町村で管理されていた外国人登録原票は法務省に送付されました。
法務省に送付された外国人登録原票は、閉鎖外国人登録原票として、出入国在留管理庁にて保管されています。
閉鎖外国人登録原票にて過去の遍歴を調べることができます。
この閉鎖外国人登録原票は、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した個人情報であって、当該行政機関の職員が組織的に利用するものとして、当該行政機関が保有している「保有個人情報」となります。
開示にあたっては「行政機関の保有する個人情報に関する法律」に基づき保有個人情報の開示請求をいたします。
行政庁は、次に該当する場合を除き、原則開示をしなければなりません。
- 開示請求者の生命、健康、生活又は財産を害するおそれがある情報
- 開示請求者以外の個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により開示請求者以外の特定の個人を識別することができるもの若しくは個人識別符号が含まれるもの又は開示請求者以外の特定の個人を識別することはできないが、開示することにより、なお開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるもの
- 法人その他の団体に関する情報又は開示請求者以外の事業を営む個人の当該事業に関する情報であって開示することにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの
- その他法律文章をご確認ください。
請求できる方
本人又は法定代理人となります。(行政書士であっても代理請求をすることは出来ません)
死亡されている方の閉鎖外国人登録原票を請求できる方は
- 死亡の当時における同居の親族
- 死亡の当時における配偶者(内縁の夫・妻を含む。)、直系尊属、直系卑属又は兄弟姉妹
- 上記1又は2が未成年者又は成年被後見人の場合には、その法定代理人(親権者,成年後見人が該当。)
となります。
請求先
請求先は、法務省になります。開示請求書は、法務省のHPからダウンロードできます。郵送または訪問にて請求となります。
添付書類
- 開示請求書
- 本人確認(免許証のコピーや在留カード、特別永住者証明書など)
- 返信用封筒(切手貼付)
- 日本の戸籍謄本、住民票写し(取得から1月以内)
- 収入印紙300円
交付までの期間
およそ1月程度かかります。審査の結果、全部開示か部分開示、不開示が決定されます。
行政書士の先生にとってはご存知の通り、行政不服審査法、行政事件訴訟法の対象となりますので、不開示となった場合、審査請求や不開示決定の取消訴訟を提起することができます。
今回は、無事に全部開示となり、大使館での除籍謄本交付請求ができそうです。
今回の閉鎖外国人登録原票に限らず、例えば確定申告書の写し等も情報公開請求ができます。
以上、備忘録のために記載いたしました。