外資による土地買収問題

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中国人女性が沖縄の無人島「屋那覇島」を購入し、SNS上で「日本の無人島を買った」と投稿したところ北京市民が「その島は中国のもの」と言ったことがSNSを賑わせています。

これに対し、松野官房長官は「ご指摘の屋那覇島は領海基線を有する国境離島地域離島に該当しないので重要土地調査法の対象にはなりません」と発言したことが問題となっています。

また、北海道の過疎地や水源地などが中国人によって次々と買収されている状況が伝えられており中国人が北海道に持っている土地面積は、静岡を超えると言われています。

買収された土地には日本人の立ち入りがはばかれている状況もあるとして、合法的に日本の国土を奪われてしまうことへの懸念を示しています。

既に豪のケズウィック島は、中国人に変われ豪州人の立ち入りは禁止になっていると言います。

また、林野庁によると

外国資本が日本国内で買収した森林の面積は、林野庁が調査、公表に乗り出した2010年から増え続け、21年までの累計が調査開始時点比4・2倍の2376ヘクタールに達したことが分かった。北海道が大半を占め、福岡県は4番目。買収の動きは森林以外の不動産にも広がり、西日本新聞は熊本市内の民有地で中国の富裕層や投資会社による購入事例を複数確認した

と発表しています。

増加する外資による土地買収や日本の安全保障にかかわる防衛施設の近隣土地の買収対策として、昨年の9月20日に冒頭の松野官房長官が触れている重要土地調査法が施行されています。重要土地等調査法の正式名称は「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」といいます。

重要土地調査法

この法律の目的は次の通りとなります。

(目的)
第一条 この法律は、重要施設の周辺の区域内及び国境離島等の区域内にある土地等が重要施設又は国境離島等の機能を阻害する行為の用に供されることを防止するため、基本方針の策定、注視区域及び特別注視区域の指定、注視区域内にある土地等の利用状況の調査、当該土地等の利用の規制特別注視区域内にある土地等に係る契約の届出等の措置について定め、もって国民生活の基盤の維持並びに我が国の領海等の保全及び安全保障に寄与することを目的とする。

防衛関係施設、海上保安庁施設、生活関連施設(原子力関係施設・自衛隊施設が隣接し自衛隊も使用する施設)の周辺(敷地周囲概ね1km)と国境離島や有人国境離島地域を構成する離島の機能を阻害する土地等の利用を防止するため、注視区域を指定し、さらに重要な区域を特別注視区域として指定します。

注視区域と特別注視区域は、告示で個別に指定することとされていて、現在第一弾として5都道府県が指定されていますが、現在のところ安全保障上最も重要な沖縄県は注視区域には指定されていません。

また、この法律では、

特別注視区域内にある土地等(一定の条件に当てはまる土地)の移転又は設定をする契約を締結する場合には、当事者は、次に掲げる事項を、内閣府令で定めるところにより、あらかじめ、内閣総理大臣に届け出なければならない。

としています。

特別注視区域での事前届出では、氏名や住所の他、国籍、加えて利用目的などを記載します。この記載内容に対して内閣府は調査することが法律で定められています(法第13条第4項)。

具体的には、利用状況調査のために必要がある場合には、関係行政機関に対して、氏名、名称、住所、本籍、生年月日、連絡先、性別に関する情報提供を求めることができる他、土地利用者及びその関係者に対して報告・資料提出を求めることができるとされています。

さて冒頭の記事を見て、皆様はせっかく施行されたこの法律が機能していると思いますでしょうか?この件につきまして、姫路大学の特任教授:平野秀樹さんが興味深い投稿をしているので紹介したいと思います。

記事の題名は、以下となります。

重要土地等調査法、論点すり替え反対するメディアは国民の味方か 新法は第一歩、「サイレントな国土買収」はまだ防げない

記事を転記します。

新法〈重要土地等調査法〉が通常国会の最終日(6月16日)の未明、ついに成立した。

 

 立憲民主党と共産党が猛反発し、与党と日本維新の会、国民民主党などが押し切ったかっこうだ。

最低限の法規制にもかかわらずメディアは批判一色

「何で野党が反対するのかわからない・・・」

 テレビニュースを見ていた知人の妻はポツリ。ふだん政治にあまり関心のない50代女性でさえそういったというが、野党ばかりではない。大半のマスコミ(ネットを含む)が反対一色だ。スポンサーの意向によるのか、国民をミスリードしたがっている。

一方で、新法の実効性を危ぶむ人たちもいる。

「骨抜きだ。実質的に何の縛りにもなっていない・・・」

 理由は二つで、一つは、①新法による規制区域が限定的でエリアが狭いこと。ここ十数年で、最も多く買収された森林・農地が直接の調査区域に入っていない。もう一つは、②規制レベルの低さだ。新法による規制レベルは、狭いエリアの土地利用について、国が調査するにとどめ、所有規制や強制的な立入調査、土地収用にまで踏み込んでいない。

 そんな低めの規制法だというのに、阻止派は収まらない。論点をずらした反対大合唱を続けている。

略称は〈土地規制法〉?

本来、法律の名称(略称)は法の本質を端的に表すもので、重要なメッセージをわかりやすく発している。新法は公式ベースでは〈重要土地等調査法〉とされ、内閣官房のサイト(土地調査検討室)に掲げられている。

 

 ところがマスコミ各社はそれぞれが社の個性でもって、独自に命名するに至り、結果、新法の略称はバラバラになっている。筆者はこれまで新法を〈外資の土地買収調査法〉と呼んできたが、一連の騒ぎの中でどれを採用すべきか正直迷っている。

 最も短い略称は〈土地規制法〉だ。

 朝日新聞・琉球新報・沖縄タイムスによるもので、三社とも3月以降は呼び方を揃えた。ブレずに使い続けたせいか、国会審議の終盤、6月以降はこの命名が主流になった感がある。ただこの略称、私権がズカズカと制限されそうなイメージを抱かせる。何だか法案そのものに反対したくなってくる。

 日経新聞は経済安保の観点から本テーマの報道では他社を凌ぎ、先頭を走っていたが、国会終盤での略称は〈重要土地利用規制法〉。法律の性格をほぼ表している。

 読売新聞は〈重要土地等規制法〉で、政府の表現に近い。

 意外だったのは北海道新聞が使う〈重要土地法〉だ。ニュートラルな感じを醸し出す呼び方で、左派に偏らず、好感がもてる略称である。でも社説で使っていたのは〈土地規制法〉。本音はやはり新法には反対なのかもしれない。

 産経新聞は新法の制定を後押しすべく、昨年来、先行して外資買収の関連記事を連発してきた。年明け以降も大きく紙面を割き、新法を〈安保上重要な土地調査法〉〈外資土地規制法〉と呼んだ。ところが他紙が頻繁に取り上げはじめると迎合したのか、〈土地利用規制法〉や〈土地規制法〉に変えた。産経トーンが薄れてしまったようで寂しい。編集方針まで変わってしまったのか心配だ。

 ロイターの場合は書き手ごとに異なった。〈土地規制法〉と〈重要土地調査法〉だ。英訳したとき、混乱しなかったろうか。

国家の乱用と私権の制限

 新法の閣議決定(3月26日)以降、批判的な記事が大量に出回り、見出しには〈土地規制法〉と〈土地利用規制法〉が躍った。

 

「実際に外国資本により国民の安全が脅かされたケースを政府は明示していない」(NHK3月30日)、「最大の懸念は、調査が際限なく広がる恐れがあることだ。・・・国会のチェックは及ばず、政府のさじ加減ひとつでいかようにもなる」(朝日新聞4月3日)、「妨害工作を防ぐ安全保障上の目的というが、私権を侵害し、正当な経済、活動も制限しかねない危うさがある」(東京新聞4月7日)。

 新法は、実質的には「外資買収規制」であり、安全保障の観点から不安視されたゆえ、制定されたものだ。だが、審議過程でいつのまにか〈自国民の私権制限〉に直結する悪法だとのイメージが一人歩きし、それが論点にされていった。特定イメージを刷り込むための印象操作と、論点ずらしのための恣意的な世論誘導が続けられたと解される。

 その影響を危ぶむ識者もいる。

「今後も反対者たちは、『新法は治安維持法と同じ効力を持つ』とみなし、法の適用を妨害し続けるのではないか・・・」

 きちんと抗することができるよう〈国家と私権〉の関係について、改めて考え直しておきたい。

 今回の新法「重要土地等調査法」の制定背景は、何者かが巧妙にかつ秘匿しつつ、我が子らが持つ敷地(国土)を買収(簒奪)しはじめているのに、親(国家)がその土地への立ち入り禁止を言い渡されそうになっているというものだ。こうした惨状の中、「親として、これではまずい。どれだけ買収されているか? 金庫や通帳、ハンコは大丈夫か? PCはハッキングされていないか? それを今、調べておかないと・・・」という主旨で制定されてい る。

 国家と私(権)の関係を親子の関係に喩えるなら、子は、その親の庇護がなければ何もできないということを知るべきだろう。いつまでも三歳児が親に駄々をこねていてはいけない。

 にもかかわらず、新法を阻止したい人たちの言い分は、「子供には個人情報があり、プライバシーもある。それは絶対的なものだから、覗くことなど一切許されない」という主張である。背景には、「国家(権利)よりも、私権が優越するという思想」があるからではないか。子(個)は親(集団)と同格か、それ以上のものであるという考え方だ。

 改めて問われるべきは、国家と私権について、「私権が常に優越するものではない」「国家(の庇護)があってはじめて私権がある」という道理である。

 もちろん、国家による〈権力の乱用〉があってはならず、〈私権の制限〉にも限度がある。しかし、この両者の関係が昨今の日本では揺らいでいて、明らかに歪になっている。コロナ禍で浮き彫りになったのは、「ロックダウンを宣言し、違反者から罰金が徴収できる先進各国」と、「国民に自粛を要請し、協力金をバラまくことで抑えようとする日本」の相違である。

 憲法問題にまで及ぶこうした根本的な権利にかかる議論をいつまでも放置し、避けていてはいけないだろう。「現憲法は是正しない、論議さえしない」との頑な姿勢を通し、政府までもが「目先の金儲けしか興味がない」とすれば、日本は国家間レベルでの相対的な統治強度を失い、国家として溶けていくしかないだろう。

 駄々をこねるだけでなく、国籍不問で無差別な私権まで認めるべきだと言い続けるなら、国家の溶解時期は早まるだけだ。「そうなってもかまわない。国家に期待などしない」という国民が増えているのが心配だ。このままでは未来の日本人が可哀そうだ。

ようやく諸外国並みに近づく第一歩

 現場では今、新法の効力だけではいかんともしがたく、地主の多くは、吸引力ある外資の方へなびいてしまっている。

 

 とりわけ北海道全域と中九州では、サイレントな大地(国土)買収が止まらず、重要施設周辺の買収とは別の切り口で、目立たないかたちの布石が打たれている。

 今回、無防備だった日本で、はじめて防衛的な調査ができるようになったが、国際比較すると、まだまだ周回遅れである。

 中国、インドネシア、フィリピンでは外国人の土地所有は不可だし、インド、シンガポール、マレーシアも制限付きだ。韓国は外国人土地法によって島嶼地域等の海岸部は、許可がなければ売買ができない。

 アメリカもハワイ、アラスカなど四割の州で規制しており、2020年2月からはCFIUS(対米外国投資委員会)の審査対象として不動産投資が加わった。

 スイスにはコラー法(連邦法)があって、土地の「過剰外国化」を阻止するとまで明記しており、無許可の取引は無効で登記不可。届出違反の土地は没収となる。外国人の別荘取得にも制限があり、全国で1500件の枠しか認めていない。

 世界標準で考えると、国家として〈買われてしまうと国益を損なうモノ〉や〈買い戻せないモノ〉は売ってはならないという視点が普通の国では備わっている。特に2017年以降は、中国の一帯一路に対抗し、太平洋周辺諸国のオーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、韓国、そして欧州フランスでは外資買収の規制強化や禁止など、警戒アラームを作動させはじめている。

 日本もようやくこの流れに乗り始めたが、今回の新法制定で一件落着ではない。

 次の世代に禍根を残さない法体系となるよう、私たちは憲法改正を含めたルール変更の第二段階を目指し、踏み出さなければならない。それを肝に銘じたい。

 新法については来年の施行に向け、政令以下が整えられていくことになるが、ことあるごとに反対し続けるセクターは、いったいどの国に本拠をもっているのか、問われなければならないだろう。一連の騒ぎをほくそ笑みながら見守っている国がきっとあるはずだ。

皆さまはどう感じましたでしょうか?一部の日本人には特定の国に利する行動をとっている様に感じるのは僕だけでしょうか?

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